感染症ペストの窓
イタリアでは、コロナウイルス対策のロックダウンが徐々に解除される予定も出されましたが、まだまだ厳しい状況です。
食料品店やスーパーなど、お店では、入店するときに入口に置いてある使い捨ての手袋をしなくてはいけません。
今日、中央市場に行ったら、入口で使い捨て手袋を入場者に配布する係の人が立っていました。(先週は、市場では手袋の配布はおこなわれていませんでした。)
薬局に行ったら、レジのあるカウンターに、プレキシガラスの仕切りが設置されていました。
薬局は、当然薬を買いに行く場所ですので、その中には体調が悪い人もいるかもしれません。毎日大勢のお客さんに対応する薬剤師の人たちの感染予防は必要ですよね。
そこで思い出したのが、感染症ペストの時の窓口です。
サン・マルティーノ広場にあるサン・マルティーノ教会の中には、ペストの時に使っていた感染防止の窓が残っています。
残っているといっても、現在は埋め固められているので、壁と同化していますが、「パン配布用の窓。ペストの年1522年」と書かれていて、そこでパンの受け渡しがおこなわれていたことがわかるようになっています。
「窓」といっても、かなり大きいです。(窓の隣に長椅子があるので、それと見比べていただくと大きいことがわかります)
でも、普通の窓ではなく、ラッパ状の穴で、向こう側の口は小さくなっている窓口です。
埋められているため、外側から見ても穴はありませんので、向こう側の穴がどのくらいの大きさだったかはわかりません。
この教会は、貧しい人たちを助けるための組織がある教会で、中世にはパンなどを、そして現在は現金を貧しい人に分け与えている教会です。
ペストが流行した時は、感染予防のため、パンを受け取りに来る貧しい人たちが教会の中に入らなくても、パンを受け取ることができるように、この窓口が使われていました。
以前は、目にも留めなかったような窓が、急にリアルに見えてきます。