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イタリア料理~ラツィオ州~

ローマのあるラツィオ州。南に隣接するカンパニア州とユダヤ料理の伝統が融合したものが、ラツィオ州の郷土料理のルーツ。

18、19世紀に洗練の度を加え、現在みる数々の料理ができあがった。

 

肉料理

肉料理に特徴的なものが多く、内臓、尾、頬肉など、他の地方ではあまり使われない部位を主にした独創的な料理を、 特にセコンドピアット(メイン料理)で目にすることができる。

反面アンティパスト(前菜)には、今日ではイタリア全土で広く食されるようになったものが多い。「野菜のグリルverdure miste grigliate」などはその典型。

 

オリーブオイル

トーストしたパンにニンニクを擦り付けオリーブオイルをたらした 「ブルスケッタBruschetta」もイタリア料理の定番だが、上にのせる具の種類がとりわけ豊富なのであれこれ試してみるのもいい。

 

ラツィオ州では、4種類のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルがDOP食品に指定されている。
ローマとリエーティ近郊で生産される「サビーナ Sabina」と、ヴィテルボ近郊で生産される「カニーノ Canino」、 より広域のオリーブから生産する「トゥシャ Tuscia」「コッリーネ・ポンティーネ Colline Pontine」だ。

素材がシンプルなブルスケッタは、これらのエクストラ・ヴァージンを使用したものを選ぶようにしたい。

 

地方料理

スナックのような味わいが人気の、チーズ入りライスコロッケ「スップリSuppli」も非常に食べやすく、一品でも軽食として満足できるほど。

こうした定番に飽き足らない場合は、「ローマ風カタツムリの炒め物Lumache alla Romana(ルマーケ・アッラ・ロマーナ)」を試してみよう。 殻を口もとにもっていき、すするように食べるのがコツ。
ラツィオでは家庭料理にカタツムリが登場することも珍しくなく、トマトとミントで味付けされたカタツムリは案外食べやすい。

 

前菜

水牛の乳で作ったモッツァレッラチーズといえばカンパニア地方限定の特産物と思われがちであるが、 ラツィオ州の一部地方でも生産されており、高品質の「モッツァレッラ・ディ・ブファーラ Mozzarella di Bufala」はDOP食品認定を受けている。 これをアンティパストとして単品でオーダーしてもよいだろう。

 

小振りで味わい深いサラミ「サラミーニ・イタリアーニ・アッラ・カッチャトーラ Salamini italiani alla cacciatora」もDOP食品である。

 

またエミリア・ロマーニャ州が原産地のモルタデッラ・ハム「モルタデッラ・ボローニャ Mortadella Bologna」は、 ラツィオ州でも優良品が生産され、IGP食品として指定を受けている。

 

 

プリモピアット

プリモピアットの中には、今日ではイタリア全土で広く親しまれているが、その背後にラツィオ料理の伝統の歩みを感じさせるものがある。

 

ベーコンの脂身とトマトソースの酸味が絶妙の「ブカティーニ・アッラマトリチャーナ Bucatini all’Amatriciana」などはそうした料理の代表。

もとは豚の頬肉を使う貧しい山間部の農民料理だったが、現在ではより食べやすく仕上げられラツィオを代表する一品となった。

 

また、今では大人から子供まで幅広い人気の「スパゲッティ・アッラ・カルボナーラ Spaghetti alla Carbonara」も、 ラツィオで主に林業に従事していた農民が考案したエネルギー効率のよいパスタ料理が起源。

カルボナーラ

卵、ベーコン、ペコリーノチーズ(羊の乳のチーズ) といった身近な食材を使い、かつ厳しい肉体労働にも耐えられるような高カロリーの食事が求められたためだ。

塩味の特に強い「ペコリーノ・ロマーノ Pecorino Romano」をすってたっぷりと振り掛けるのが、 この料理をおいしく仕上げるこつだ。もちろんDOP食品に認定されている良品を選べば、料理の風味がいっそう増す。 塩分控えめのDOP指定食品「ペコリーノ・トスカーノ Pecorino Toscano」も生産されているので、好みのペコリーノチーズを選ぶとよいだろう。

 

イタリア半島にまだジャガイモが持ち込まれていなかった古代から中世にかけての時代、庶民の食事として定着したのが 「ローマ風ニョッキ Gnocchi alla Romana(ニョッキ・アッラ・ロマーナ)」で、ジャガイモではなくセモリナ粉が主材料。

牛乳で練ったセモリナ粉に擦りおろしたチーズを加えて冷まし、円盤型に整えてオーブンで焼き上げた料理で、ふわふわした食感が特徴。

 

対して今日一般に普及しているのが「ジャガイモのニョッキ Gnocchi di Patate(ニョッキ・ディ・パターテ)」で、こちらは小振りで、 もちもちした食感を楽しむもの。

 ニョッキ

 

今のローマでは後者のタイプのニョッキが主流で、木曜にはジャガイモのニョッキを食べるという習慣もある。

 

南隣のカンパニア州から伝わってローマ独自の味に発達したのが「ローマ風ピッツァ Roma Pizza」。

ローマピッツァ

生地を薄く香ばしく焼き上げた点が特徴的。
のせる具はバリエーション豊かだが、ラツィオ州ではアーティチョークをのせることが多い。

 

プリモピアットを軽くおさえたい場合は「カーチョ・エ・ペーぺ Cacio e Pepe」がおすすめ。

その名の通り、擦り下ろしたペコリーノ・ロマーノ・チーズ(Cario)と胡椒(pepe)を、ゆでたロングパスタにまぶしただけのシンプルな料理。

しかもペコリーノ・ロマーノの豊かな香りと味わいをストレートに味わえる名品である。

 

セコンドピアット

セコンドピアットは肉料理が主流だ。

比較的軽めの一品としておすすめなのが「サルティン・ボッカ・アッラ・ロマーナ Saltimbocca alla Romana」。

脂身のない薄切りの牛肉にセージをのせ、生ハムで巻いてバターでソテーしたシンプルな料理で、 生ハムの塩分と旨味が牛肉に染込んだくせのないおいしさが楽しめる。

ラツィオの子牛肉「ヴィテッローネ・ビアンコ・デッラッペニーノ・チェントラーレ Vitellone Bianco dell’Appennino Centrale」はIGP食品でもあり、 味わいの良さは保証付きだ。

 

ローマ名物といえば子羊料理も非常に有名。

「アッバッキオ・アッラ・スコッターディオ Abbachio alla Scottadito」「ブラチョリーネ・ダッバッキオ Bracioline d’Abbacchio」といえば、 子羊のモモ肉や、ロースのグリルやステーキを指す。

まだ草を食べたことのない乳だけで育った子羊を使うので、肉は柔らかく風味が高い。

 

羊、豚、牛などの内臓を使った料理も多いが、最も手軽なモツ料理から試すなら「ローマ風トリッパ Trippa alla Romana(トリッパ・アッラ・ロマーナ)」を手始めに試すとよいだろう。

トリッパ

牛の第二胃袋(トリッパ)を香草で下茹でして短冊状に切り、トマトソースにミントを少量加えて煮込むだけのシンプルな料理。

舌の上でとろけるほど柔らかく煮込まれたトリッパは、ほとんどくせもなく、モッツァレッラチーズやトーストしたパンを添えていただくのが一般的。

 

モツ料理に慣れてきたらウサギや羊の脳ミソcervelloのフライも試してみたい。

「揚げ物の盛合せ Fritto misto alla Romana(フリット・ミスト・アッラ・ロマーナ)」の中に盛られていることもあるが、屋台などで、 単品で手軽に味わうこともできる。

脳ミソは酢を加えた湯で下茹でしてあるので軽く固まっている。揚げ衣が熱いうちに頬張ると、 まるで白子のように滑らかで淡白な風味を味わうことができる。

 

「コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ Coda alla Vaccinara」は、牛の尾をフレッシュトマトとたっぷりのセロリを加えてじっくり煮込んだローマの名物料理。

とろりとしたソースにはオックステール(牛尾)の旨味がたっぷりと溶け出し、肉は骨からするりと外れるほど柔らかく煮込まれている。

 

ラツィオの屋台の主役は、仔豚の丸焼き「ポルケッタ Porchetta」。

香草を詰めた仔豚を太い串に刺して丸ごと窯で焼き上げたポルケッタは、 表面は塩味がよく効いてかりっと香ばしく、中の肉は柔らかであっさりとして食べやすい。

切り分けた肉をパンに挟んでパニー二(サンドイッチ) として食べるのが一般的で、軽食に最適だ。

ポルケッタのパニー二を作るときには、IGP食品に指定されているジェンツァーノ地方特産のパン 「パーネ・カザレッチョ・ディ・ジェンツァーノ Pane casareccio di Genzano」を使えば、肉の味わいを最高に引き立ててくれること間違いなしだ。

 

魚介類

肉料理の充実度が高いラツィオだが、カンパニア州の伝統の影響で以外と魚介料理もよく食される。

 

海岸付近なら、前菜に「魚介類の盛合せAntipasto misto di Pesce(アンティパスト・ミスト・ディ・ペッシェ)」 をオーダーしてみよう。

カタクチイワシのマリネや茹でタコのぶつ切りが豪快に盛り付けられているはずだ。

 

同じく前菜として 、一口大の魚やエビのフライを盛り付けた「フリット・ミスト・ディ・ペッシェFritto misto di Pesce」をオーダーしてもよい。

 

ラツィオの白ワインならどれでも魚介類の繊細さを引き立ててくれる。

「ズッパ・ディ・ボンゴレ Zuppa di Vongole」はたっぷりの新鮮なアサリをトマトソースで煮込むシンプルな料理で、 アサリの旨味とトマトの酸味が実によく合うことに気づかせてくれる一品。

トーストしたパンが添えられることが多い。

 

旬の料理

アーティチョーク

春から初夏にかけての付け合せ(コントルノ)野菜として外せないのがアーティチョーク。 「ユダヤ風アーティチョーク Carciofi alla Giudia(カルチョーフィ・アッラ・ジュディア)」は新鮮な アーティチョークの花弁を丸ごとじっくり揚げて形を整え、塩と胡椒、レモン汁で食べるシンプルで香ばしい料理。

 

対して「ローマ風アーティチョーク Carciofi alla Romana(カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ)」は、 鍋にオイルとイタリアンパセリ、それにメントゥッチャ(葉の小さなミントの一種)をたっぷり入れて、 茎がついたままのアーティチョークの花弁を香り高く茹であげたもの。

 

ラツィオ特産のアーティチョークの中でも、ヴィテルボ、ローマ、ラティーナ近郊で収穫される 「カルチョーフォ・ロマネスコ Carciofo Romanesco」はIGP食品であり、旬に食せば素晴しい風味が味わえる。

 

冬から3月頃の早春にかけて出回る野菜プンタレッレpuntarelleのサラダ「インサラ―タ・ディ・プンタレッレInsalata di Puntarelle」は、 生野菜のしゃきしゃきした食感が魅力の付け合せ。

茎の部分を手で裂いて冷水に放し、 くるりと巻きあがった形になったプンタレッレをお皿に盛り、アンチョビ・ソースでいただく。

セロリのようなしゃきしゃき感と、 日本野菜の水菜に似た軽い苦味が、油分の多い肉料理の重さをやわらげてくれる。

 

デザート

もっともクラシックなデザートといえば「マリトッツォ Maritozzo」。

小振りのパンにたっぷりの生クリームを挟んだだけのシンプルなお菓子。

干しブドウや松の実、砂糖漬けのオレンジを加えてバリエーションをつけたマリトッツォを売るお菓子屋さんもある。

まだベッドで寝ている愛妻のために、夫(「マリート Marito」)が甘いパンを朝食用に買いに走ったことから付いた呼び名だとか。

昔はバレンタインデーに夫から妻への贈り物にする習慣もあったという、ラツィオの人にとても親しまれているドルチェだ。

ローマのシンボルともいうべき白ワイン「フラスカーティFrascati」と合わせてもおいしい。

 

クリスマスシーズンには、クルミ、松の実、アーモンドなどのナッツ類に、ハチミツを加えて固めた「パンジャッロ Pangiallo」 と呼ばれるお菓子も登場する。

贈り物としても最適で、甘口のスプマンテとよく合う。

 

乳製品が多いラツィオでは新鮮なリコッタチーズを練りこんだパイ「クロスタータ・コン・ラ・リコッタ Crostata con la ricotta」もよく親しまれている。

 

ワイン

ラツィオは、約2000年のブドウ栽培の歴史をもつ。

カリウムとリンが豊富な土壌から産するここのワインは、軽い口当たりと豊かな香り、 すっきりした辛口の味わいが特徴。アマトリチャーナやカルボナーラといった、重めのラツィオの郷土料理によく合う。

 

ラツィオ州のヴィテルボ県近くには、白のDOCワイン「エスト!エスト!!エスト!!! Est!Est!!Est!!!」 を産するモンテフィアスコーネMontefiascone地方が広がる。

伝説によれば、12世紀、ワイン好きのドイツ人司教ヨハン・デ・フッジェールの命を受けてワインの試飲にこの地方を訪れた召使マルティーノが、ここのワインのあまりのおいしさに驚いて「Est, Est, Est」と書き記したことに因んだ名といわれている。

マルヴァジーア種とトレッビアーノ種から作られるすっきりした軽めの辛口で、アンティパスト一般、また魚のフライなどと相性がよい。

 

羊料理には、赤ワインの「チェサネーゼCesanese」を合わせるとよい。鮮やかなルビー色と上品な香りが際立つラツィオの代表的なワイン。

 

デザートには、DOCのデザートワイン「アレアーティコ・ディ・グラドリ Aleatico di Gradoli」をぜひ合わせてみたい。

 

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