フィレンツェに巨大な「傷」出現。ストロッツィ宮殿
フィレンツェに現れた巨大な「傷」。
ストロッツィ宮殿を覆うようなアートが3月19日に出現しました。その名も「傷」。
ストロッツィ宮殿は、いつも特別展が開催されるのですが、現在はソフトロックダウンで休館となっています。
休館でも見ることができるアートとは考えたものです。
モノクロ写真のコラージュアートで、作者はフランスのアーティスト、JR。
コロナウイルスの影響でクローズせざるをえなくなった美術館、劇場、映画館、図書館などのアートの傷を表現しています。
建物が壊れて中が見えているような姿です。
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」や「春」、ジャンボローニャの彫刻「サビニの女たちの略奪」が見えます。
だれもが知っている「ヴィーナスの誕生」と「春」はウフィツィ美術館に、「サビニの女たちの略奪」はシニョーリア広場のロッジア(回廊)にあります。
上の階に本がたくさん並んでいるのは、国立図書館。アルノ川沿いにあります。
建物が人の体だとすると、内臓が見えているような感じの痛々しいアート。
でも、美しい。
美しいものたちが悲鳴をあげているような、美しい痛々しさです。
フィレンツェという美しい街が傷ついている様子をまさに表現してくれた!という感じで、見入ってしまいました。
フィレンツェのような芸術の街は、芸術家や職人、アーティストが本当に多いところです。
その芸術を見に世界中の人たちがフィレンツェを訪れていたのに、それがなくなってしまったのですから、その傷は大きいです。
アーティストの人たちも含め、フィレンツェは個人で商いを営んでいる人たちが大半です。
大きな危機がやってきたとき、弱いのは個人です。(私も含め。)
傷が大きい分、治るのに時間がかかると思いますが、なんとかして今は痛みをやわらげ、そして、徐々に治していくことができるよう、一人一人ががんばらなくてはいけないな、と元気づけられました。
そして、フィレンツェはやっぱり美しい!とあらためて思いました。
この作品は、8月22日まで展示されています。