トスカーナが舞台の映画『トスカーナ』
トスカーナが舞台のデンマーク映画『トスカーナ』。トスカーナが舞台なら見なくては!と、早速見ました。
2022年5月18日からNetflixで配信されている映画『トスカーナ』。
デンマークで働くシェフがイタリアのトスカーナへやってきて、自分の人生を見直すというヒューマンラブストーリーです。
ストーリー
父親が残したビジネスを売却しようと、イタリアのトスカーナ地方へやってきたデンマークのシェフ。そこでひとりの女性と出会い、自分の生き方を見つめ直してゆく…。
(Netflixより引用)
『トスカーナ』(2022)
Toscana
監督・脚本:メヒディ・アヴァス
キャスト:
アナス・マテセン、クリスティアーナ・デランナ、アンドレア・ボスカ、ギタ・ナービュ、セバスチャン・イェセン、アリ・アレクサンダー、クリストファー・ニッセン、カロリーネ・ブリグマン、ラーケ・ウィンザー、クリストファ・ジンディル、チュー・エルステッド・ラスムッセン
あらすじ(ネタバレなし)
デンマークのシェフ、テオは、父親が亡くなったという知らせを受け、父親が残した土地であるイタリアのトスカーナに向かいます。そこで働くソフィアと出会い、彼女の結婚式の料理を作ることになります。
感想・レビュー
デンマークでピリピリとして働いていたテオが、トスカーナに滞在することで自分を見直すことになった、というストーリーは、展開が見え、結末もすぐに想像がつくのですが、なんといってもトスカーナの景色とテオの料理が美しい!
トスカーナの自然と食、そしてテオの料理を見ているだけでいやされました。
ストーリー的には普通で、少々説得力が欠ける部分もあったのですが(父親との関係とか、ソフィアとの恋とか)、トスカーナの自然と食がとにかくもりだくさん。オリーブ、ワイン、サラミ・ハム、チーズ、パン、ハーブなど、トスカーナらしいガストロノミーがおいしそう。そして、ミシュランの星を獲得したシェフ、テオの盛りつけは、ため息が出るほど美しい。
典型的なトスカーナを演出するためか、けっこうつっこみどころがありました。
カステッロがあるのは、ペーラゴという設定。ペーラゴは、フィレンツェから東へ25キロほど行ったところ。それなのに、オルチャ渓谷のような風景が出てきます。トスカーナの田舎といえば、オルチャ渓谷のようななだらかな風景が典型的ですからね。
チーズ工場のシーンは、グラナパダーノのような大きなチーズ。これはエミリアロマーニャ産かと思います。トスカーナが舞台の映画なので、名産のペコリーノが登場すべきだと思いますが、ペコリーノは小さくて絵にならないので、迫力のある大きなチーズが選ばれたのはもっともです。
もっというと、チーズ工場に行く際に、なだらかな丘陵地帯をスクーターで走っていますが、エミリアロマーニャに行くのにスクーターではちょっと遠いですし、そこは通らないよね、という感じです。
さらに不思議だったのは、オリーブの収穫をしているのに、みんな薄着で、温かい気候だということ。オリーブの収穫時は10月末から11月で、その時期のトスカーナはダウンコートが必要な寒さです。とれたてのブドウも出てきますが、ブドウは9月から10月。オリーブの収穫時期ほど寒くはないですが、さすがに半袖では寒いです。季節の設定がいまいちハテナ?でした。
映画でワインが出てくるときは、エチケットが見えて銘柄が意味を持っているか、もしくはエチケットが見えないようなアングルで撮られているかのどちらかですが、ソフィアの結婚式で飲まれていたワインは、ドレオリーノのキャンティ・ルフィナでした。ペーラゴはルフィナ地区。ワインはしっかり地元産🍷 でも、グラスに注がれたワインの色がちょっと薄いかなと思いましたが。
マイナーなつっこみは気にせずに、全体にザ・トスカーナの要素が盛り込まれていて、トスカーナの魅力を満喫できると思います。
トスカーナの自然と食、そして料理を楽しむなら、楽しむことができる映画だと思います。