イタリア映画『ドッグマン』
主演のマルチェロ・フォンテが、俳優として無名だったにもかかわらず第71回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞して話題になった作品です。
実話の殺人事件をベースに描かれた映画です。
イタリア、ナポリ近郊の田舎で、犬のトリミングサロンを営み平穏に暮らすマルチェッロが抱える心の闇。。
『ドッグマン』(2018)
Dogman
イタリア
監督:マッテオ・ガローネ
キャスト:
マルチェロ・フォンテ(マルチェッロ)
エドアルド・ペッシェ(シモーネ)
ストーリー
イタリアのさびれた海辺の町で、〈ドッグマン〉という犬のトリミングサロンを営むマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)。店は質素だが、犬をこよなく愛す彼には楽園だ。妻とは別れて独り身だが、彼女との関係は良好で、最愛の娘ともいつでも会える。地元の仲間たちと共に食事やサッカーを楽しむ温厚なマルチェロは、ささやかだが幸せな日々を送っていた。
だが、一つだけ気掛かりがあった。シモーネ(エドアルド・ペッシェ)という暴力的な友人の存在だ。シモーネが空き巣に入る時に無理やり車の運転手をさせられ、わずかな報酬しかもらえなかったり、コカインを買わされ金を払ってくれなかったりと、小心者のマルチェロは彼から利用され支配される関係から抜け出せずにいた。自分の思い通りにいかないとすぐに暴れるシモーネの行動は、仲間内でも問題になり、金を払ってよその人間に殺してもらおうという話さえ出ていた。
ある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒をかついでしまったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失い、娘とも会えなくなってしまう。満ち足りた暮らしを失ったマルチェロは考えた末に、ある驚くべき計画を立てる――
(公式サイトから引用)
感想・レビュー
イタリアの田舎の仲間意識はとても強いもので、それを顕著に表していました。
イタリアは個人主義といわれますが、意外と仲間意識が強く、田舎に行くとそれはさらに強くなります。
助け合うことができるという利点がありますが、孤立したときには生きていけないほど辛いものとなります。
マルチェッロが暴力的なシモーネを断ることができないのは、マルチェッロの性格だけでなく、そんな社会背景があってのことで、見ていても辛くなります。
さらに、すさんだ田舎の光景がさらに雰囲気を暗くしています。
大きな社会問題を投げかけている映画ですが、多くの登場人物がいるわけでもなく、見どころは主演のマルチェッロ・フォンテにかかっているといってよい構成になっています。
無名だったにもかかわらず、突然話題になったのも納得です。
あと、数々の犬たちが主役並みの存在で、印象的です。
すごい訓練をつんだ犬たちなんだろうなあ。
現代社会の闇に、複雑な思いが頭をめぐった映画でした。